十数年前までであれば、よほどの理由がない限り個人などではあまり設置していなかった防犯カメラも、最近では性能の向上と価格の低下によって会社や施設はもちろん、一般の家庭にも多く普及し始めてきました。
しかし、取り扱い業者や製造メーカーが増えてきたことによって、導入する企業や消費者の方々は目的別に適した防犯カメラを選びにくくもなっています。
そこで、本記事では防犯カメラを設置する上で気をつけたい業者の選び方や、導入の目的などを交えながら、防犯カメラ導入までのポイントを紹介していきたいと思います。
防犯カメラを導入する目的を明確にする
防犯カメラの機能が効果を発揮するのは、主に監視や録画といった無人でも可能な見張り役です。
一部の機器などでは警告音や音声を流せるタイプもありますが、そういった機能はあくまでも付加価値にあたる要素です。ここでは、設置する目的の目安として、様々な場面で防犯カメラがどのような抑止効果を持つのかを解説いたします。
空き巣や泥棒への対策
個人の自宅やお店、施設を問わず、防犯カメラは空き巣や泥棒対策として効果的なものです。まず、仮に、犯行に及ぼうとしている人物が、防犯カメラがあることを見た時点で抑止力が働くと同時に、万が一実際に被害にあった場合でも決定的な証拠になることも多いからです。
屋内、屋外を問わず、空き巣対策や泥棒対策には防犯カメラが有効です。
犯人の分からない嫌がらせ対策に
住宅街やマンション、アパートなどの人が集まる場所では、理由の分からない嫌がらせを受ける方もいらっしゃいます。しかし、見に覚えがなく対処方法が思い浮かばないという場合にも防犯カメラは効果を発揮します。仮に、嫌がらせの犯人であった人物が知らぬ存ぜぬで通そうとしても、防犯カメラに録画されていればそれは動かない証拠となるからです。
内部不正の対策に
犯罪が起こる可能性は外部だけのものではありません。いわゆる内部不正への抑止力にも防犯カメラは効果的です。
会社などであれば企業情報を持ち出しされるリスクも考えておく必要があります。また、スーパーやコンビニなどではレジの売上金を盗まれるなど、様々なリスクが存在しています。コンビニレジなどは一見するとお客様側だけに防犯カメラがあるようにも見えますが、側面からレジ前を映している店舗も最近では増えてきているのです。
従業員の管理・業務の管理に
多くの従業員が働く会社では、全ての社員に目が届くというわけではありません。
デスクワークなどであれば、周囲に他の人がいることも多いですが、工場のような閉鎖空間では人の動きを把握しきれないということもあります。こういった場合に防犯カメラを導入することで、危険な行為などが行われていないか、業務がきちんと遂行されているかを確認することが可能です。
防犯カメラの設置費用
防犯カメラの設置費用はいくらかかるのでしょうか?専門業者に頼んだ場合や自分で取り付けるなどによって価格は違います。
詳細は以下の記事をご覧ください。
防犯カメラの設置に使える補助金はあるの?
防犯カメラの設置に関する補助金は条件や時期によりますが存在します。ただ、地域の自治体に限定されていたり、個人ではなかなか使えないものも多いです。
防犯カメラ設置の補助金に関しては以下の記事を参考にしてください。
防犯カメラの設置業者の選び方
冒頭でも解説しましたが、近年ではインターネット通販から家電量販店なども含めて、防犯カメラを取り扱っている業種は大きく拡大しました。
普通の家電製品であれば、特に迷いなく購入・設置まで進めますが、防犯カメラを設置してもらう場合には注意するべき点もあるのです。
ここからは、防犯カメラの設置業者を選ぶポイントや注意点について解説していきます。
電気屋さんに依頼する場合
いわゆる街の電気工事などを請け負っている電気屋さんに防犯カメラの設置を頼むことは理論上可能です。電気工事には資格が必要な作業も多いですが、こういった条件はクリア出来ます。問題点はそもそも防犯カメラの設置経験があるかどうか、そして防犯カメラを適切に扱う方法を熟知しているかどうかという所です。
知り合いなどでどうしても依頼したい場合には、過去に防犯カメラ設置に携わったことがあるかどうかなどを事前に確認しておいた方がよいでしょう。
防犯カメラ専門の業者
こちらはその名の通り、いわゆるセキュリティのプロが多く所属する専門店のようなものです。主な取り扱い商品が防犯カメラであれば、防犯カメラに対する知識は他のどこにも負けないでしょう。確認したいポイントとしては、アフターフォロー体制などがしっかりと用意されているかどうか、予算内かつ適正な価格であるかどうかなどの相談に対する対応や柔軟性に注目しましょう。
警備会社
警備会社の中には防犯カメラの設置を取り扱っているところも存在します。セキュリティに関してはやはりプロですから、信頼性は高いと言えます。問題は契約方法に多様性があったり、柔軟性があるかどうかです。例えば、ドアセキュリティを導入しなければ防犯カメラの契約が出来なかったり、そもそも防犯カメラ単体の契約があるかどうかを確認すべきです。その他、取り扱っている防犯カメラの機器の種類なども目的によっては気にすべきポイントになるでしょう。
インターネット通販
最近ではインターネットの通販サイトなどで防犯カメラを検索すると、色々な種類の商品が探せるようになりました。価格帯も安価なものから高価なものまであり、単純な種類だけで言えばもっとも多いかもしれません。
インターネット通販を利用すれば、防犯カメラそのものを購入することは難しくありませんが、設置が必要な場合の対策や保証に関する問題などを確認しておく必要があります。また、家庭用と施設用などの防犯カメラを見分ける必要もあります。
家電量販店で購入する
大型の家電量販店などでは防犯カメラを取り扱っているところもあります。ただし、家電量販店は名前の通り【家電】のお店ですから、購入出来るものも家庭用の防犯カメラが多く、室内用のものがほとんどです。
屋外用の防犯カメラなどを設置したい場合には他の場所での購入を検討すべきでしょう。
ホームセンターでの購入
家電量販店と同じく、ホームセンターなどでも最近では防犯カメラを販売していることがあります。
量販店に総じて言える弱点としては
保証がメーカー保証のみであることが多いこと
防犯効果を考えた最適な設置は期待出来ない(設置を依頼した場合)
アフターフォローなどがほとんど用意されていない
といった部分でしょう。どちらかと言えば、室内用の見守りカメラなど、防犯性の低いワイヤレスカメラが主流だと言えます。
防犯カメラを導入する時に注意すべきポイント
防犯カメラを購入する業者を決めても、導入前にも注意しておきたいポイントを紹介します。
防犯カメラは購入して設置・導入する場合には、初期費用もそれなりにかかるものですから、細部までチェックすることをおすすめします。
信頼出来るメーカーかどうかを確認する
近年の防犯カメラ全体の低価格化には、ノーブランド製品の登場なども影響しています。安価な製品を購入して、結果的に使い物にならなかったということにならない為にも、防犯カメラの製造メーカーはしっかりと確認しておきましょう。特にネットショップなどで価格の安い順に並べ替えなどをすると、ノーブランド品がヒットしやすい傾向にあります。
保証があるかどうかを確認する
防犯カメラは精密機器ですから、故障することも考えられます。IP基準などを満たしている製品であっても、屋外用の防犯カメラは唐突な理由で故障することも多いです。
万が一故障をした場合、交換や設置を含めて、具体的にどのような保証がついてくるのかは必ず確認しておきましょう。
性能面を確認する
防犯カメラは機器によって大きく性能が変わるものであり、性能が低くなればその分安価にはなるものの、録画の画質が悪かったり、前述した防水や防塵に対する規格が低かったりすることもあります。せっかく導入した防犯カメラも目的に合わせた性能がなければ効果を発揮出来ません。
夜間の映像品質は特に重要!
防犯カメラの夜間映像は、赤外線センサーなどを使用して暗闇を明るく写すという仕組みになっています。赤外線にも様々な種類があり、視認距離や録画範囲が変わったり、明るさが変わることもあります。防犯カメラは夜間にこそ役立つものですから、夜間の映像や録画に関する性能は特に重要です。
ワイヤレスカメラの注意点について
ワイヤレスカメラは工事が不要なものが多く、電池やバッテリーで動作するために便利に感じます。しかし、ワイヤレスカメラにはWi-Fiを使用する製品も多く、回線が不安定になる可能性が考えられます。屋内かつWi-Fiのルーターから距離が離れていなければ大丈夫な場合もありますが、動作は不安定であることを念頭に、使用する場所は使い分けた方が安心出来ます。
取付工事の品質について
防犯カメラの設置を依頼する場合、取付工事がどこまで丁寧行われるのかも重要です。外壁などに取り付ける場合には材質によっては補強工事も必要な場合があります。
施工例などが確認出来る場合は、実際に現地に行ってどのような仕上がりかを目視で点検しておくと安心です。
防犯カメラ設置前に実機の確認をしておく
防犯カメラを設置する前には必ず取り付ける実機を確認しておくようにしましょう。
例えば、ヒビや割れなどが最初からあった場合は、明らかに故障確率が上がってしまいます。また、事前に提示されたメーカーの製品であるかどうかなども合わせて確認しておきましょう。
出来れば「どの防犯カメラを選ぶか」という段階で実機が見れるのであれば実物とイメージの差をなくせるでしょう。
防犯カメラの設置方法について
防犯カメラを設置する場合には、どのような工事が必要なのか、取り付けだけでも可能なのかなど、よくあるご質問を解説しておきます。
新築の場合の注意点について
新築の自宅は普通の家よりも目立つことから、一定以上の性能がある防犯カメラが効果的だと言われています。
注意点として挙げられるのは主に以下の4点です
200万画素以上の画質で録画出来る性能を重視する
JIS規格のIPが両方共に6以上の製品を選ぶ(防水性、防塵性)
屋外設置の場合は有線での設置を前提にする
カメラの形状をバレット型にして抑止力を上げる
新築時であれば、配線工事もしやすくなるので、屋外用の有線による防犯カメラも設置しやすくなります。また、ドーム型ではなくバレット型を選ぶことで「この家は防犯カメラがあるぞ」ということをハッキリと主張することが出来ます。
工事中から稼働させる場合も含めて画素数も出来る限り高いものにしておくと鮮明な画質での映像録画が可能です。
どのような工事が必要なのか?
防犯カメラを設置する時に必要な工事は、主に配線用の工事と配線を保護するための配管工事になります。
配線工事は電源元から防犯カメラまでの間に配線を通すため、穴あけなどの加工が必要なこともあります。これらの配線工事で外壁などを伝わせる場合には配線を保護するために配管で配線を囲みます。
取り付けだけを依頼することも出来る?
防犯カメラの設置業者では、他社製品のメンテナンスや設置だけでも受付をしているところもあります。受付が可能かどうかは、各業者に直接問い合わせてみましょう。
防犯カメラを設置する主な場所について
防犯カメラが設置・利用される主な場所を紹介していきます。
一戸建ての自宅の玄関・駐車場・屋内
一戸建ての場合によく設置されるのは、玄関、駐車場、屋内の3箇所になります。
玄関は抑止効果を高めるのに最適な場所であり、駐車場はいたずら防止なども兼用可能です。屋内は空き巣対策として利用されることが多くなります。
道路
自治会や商店街の組合などが、地域の防犯対策のために道路に防犯カメラを導入することはよくあります。この場合、各自治体にもよりますが、補助金や助成金の対象になることもあり、自治体と連携して犯罪抑止の目的で設置されることが多くなります。
街頭防犯カメラとは?
街頭防犯カメラは警視庁なども繁華街に取り入れているシステムであり、公共の空間を常時録画して、犯罪の抑止力を上げる施策の1つとなっています。
警視庁HPでも紹介されていますので、詳細が気になる方は以下のリンクをご参考ください。
マンションや店舗などの施設
マンションのようにセキュリティを重視している建物や、店舗など金銭を扱う場所には防犯カメラが導入されることが多くなります。マンションではドーム型がよく使用されており、店舗ではバレット型が主流です。
いずれも、犯罪抑止効果を高めるために導入されるケースがほとんどです。
防犯カメラの設置まとめ
防犯カメラは様々な場所で犯罪抑止、未然の被害を防ぐために取り入れられており、一般家庭でもすでに約20%の設置率となっています。
地域によっては防犯カメラ導入を推奨していることもありますので、可能であれば補助金や助成金を活用して、安全対策を高めていきましょう。
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