クリニックの防犯カメラ設置場所と台数の目安を解説
4 日前
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「防犯カメラを付けたいが、何台・どこに付ければよいのか」「患者さんに不快な思いをさせないか心配」。開業医の先生や事務長の方から、こうしたご相談をよくいただきます。診療に集中したいのに、防犯まで気にかけるのは負担が大きいものです。この記事では、①クリニックで優先すべき設置場所と台数の目安、②費用相場と機器選びの考え方、③患者のプライバシーに配慮した掲示・保存期間などの運用ルール、の3点が分かります。
結論:まずはこの3か所から
最初の1〜3台は「受付・会計まわり」「出入口(外から内向き)」「薬品庫・金庫などの保管場所」の順で検討する
診察室・処置室・トイレ・更衣室は原則として撮影しない。撮るのは共用部と保管場所に絞る
録画の保存期間は2週間〜1か月を目安に院内ルールで決め、入口に「防犯カメラ作動中」の掲示を出す
費用は無床のクリニックで3〜4台の場合、機器と工事込みで【2026年9月時点】おおむね30〜80万円が一つの目安(条件により大きく変動、要見積もり)
クリニックが狙われやすい理由と防犯の基本の考え方
診療所は「現金・医薬品・個人情報」の3つが一か所に集まる場所です。夜間や休診日は無人になり、住宅街の中にあって人目に付きにくい立地も少なくありません。警察庁の統計では、令和6年の侵入窃盗の認知件数は全国で43,036件にのぼり、住宅だけでなく事務所や店舗も継続して被害に遭っています。近年は、実行役を募って短時間で金品を奪う「匿名・流動型犯罪グループ」による歯科医院への侵入窃盗も報道されています。
一方で、日中は受付での金銭トラブルや待合室でのもめごと、スタッフへの暴言など、「言った・言わない」の記録が求められる場面が増えています。
防犯の基本は、侵入者に「入りにくい」「見られている」「時間がかかる」と感じさせることです。カメラは「見られている」を担う道具であり、施錠や照明、薬品の施錠保管と組み合わせて初めて効果を発揮します。
クリニックの防犯カメラ設置場所の優先順位と台数の目安

限られた予算で効果を出すには、「守りたい資産と、人の出入りが集中する場所」から順に置くのが基本です。
優先度1:受付・会計カウンター(1台)
現金授受と患者対応の両方を記録できる、最も費用対効果の高い場所です。対応者と来院者の双方が映り、手元のお金の動きも分かる高さ(床から2.3〜2.7m程度)が目安です。
優先度2:出入口(1台)
外の光で人物が黒くつぶれる「逆光」を避けるため、入口に向けて撮るのではなく、入って来る人の顔が正面から映るよう入口の内側上部に置き、室内側を撮る配置が基本です。閉院後の侵入経路の記録にもなります。
優先度3:薬品庫・金庫・レセコン周辺(1台)
向精神薬は「鍵をかけた設備内で保管する」ことが厚生労働省の手引で求められており、盗難時には都道府県知事や警察への届出が必要です。施錠に加えて出入りを記録しておくと、万一の際に経緯を説明できます。
優先度4:待合室(1台)
患者同士のトラブルや忘れ物の確認に役立ちます。診察の様子が映り込まない画角に限定してください。
優先度5:裏口・駐輪場・外周(1〜2台)
戸建てや1階テナントで裏口がある場合は追加を検討します。屋外は防水・赤外線対応の機種が必要です。
規模別の目安は、ビル内テナントの無床クリニックで3〜4台、戸建てや1階で裏口・駐車場がある場合は5〜6台、複数診療科や病床がある場合は8台以上で個別設計、というのが一つの考え方です。
ここで大切なのは「撮らない場所」を先に決めることです。診察室、処置室、レントゲン室、トイレ、更衣室、授乳室は、防犯目的であっても原則として撮影対象から外します。患者の身体や病状に関わる場所での撮影は、必要性を説明できなければ信頼を損ないます。
費用相場と機器の選び方の目安(2026年9月時点)
費用は「カメラ本体」「録画機」「工事費」「保守・クラウド利用料」の4つで構成されます。以下は一般的な幅で、機種・配線距離・建物構造で大きく変わるため、必ず複数社の見積もりで確認してください。
項目 | 目安(税別) | 補足 |
カメラ本体 | 1台2〜8万円 | 屋外・赤外線・高画素は高め |
録画機(NVR/レコーダー) | 5〜20万円 | 台数と保存日数で容量が決まる |
設置工事 | 1台あたり2〜5万円 | 天井裏配線、外壁貫通で増減 |
クラウド型月額 | 1台1,000〜3,000円/月 | 録画機不要、遠隔閲覧向き |
※NVR(ネットワークビデオレコーダー)は、IPカメラ(LAN配線で映像を送るカメラ)の映像をまとめて録画する機器です。
機種選びでは、画素数よりも「画角(1台で映せる範囲の広さ)」と「暗所性能」を優先してください。広い待合室は広角、手元を確認したい受付は標準画角が向きます。閉院後に消灯する場合、赤外線対応でないと夜間の映像が真っ暗で使えないことがあります。
録画の保存日数は、容量計算のうえで2週間〜1か月が一般的な目安です。トラブルの申し出は数日から数週間後に来ることが多く、「先週の件を確認したい」に応えられる期間を確保しておくと安心です。
補助金は、自治体によって中小企業向けの防犯設備補助が設けられている場合がありますが、医療機関が対象かは自治体ごとに異なります。【2026年9月時点】所在地の自治体窓口で確認してください。
患者のプライバシーに配慮した運用と掲示のルール

個人情報保護委員会のQ&Aでは、特定の個人を識別できるカメラ映像は個人情報に当たるとされています。防犯目的のカメラは「取得の状況から利用目的が明らか」として通知・公表は不要とされる一方、「防犯カメラ作動中」といった掲示で認識できるようにすることが望ましい、と示されています。また、保存期間を定めて必要がなくなった映像は遅滞なく消去するよう努めることも求められています。
これを踏まえ、開院前に次の4点を決めておくことをおすすめします。
掲示:入口と受付の見やすい位置に「防犯カメラ作動中(防犯・トラブル防止目的)」と設置者名を掲示する
閲覧権限:映像を見られる人を院長と事務責任者など2〜3名に限定し、閲覧ログや台帳を残す
保存期間と消去:保存日数を決め、上書き録画で自動消去する運用にする。警察からの照会など必要な場合のみ保存を延長する
スタッフへの周知:就業規則や入職時説明で、カメラの目的(防犯・安全確保)と、勤務監視が目的ではないことを明文化する
よくある失敗は、「掲示を出さずに設置し、患者から『隠し撮りではないか』と指摘された」「待合室のカメラが診察室のドア越しに処置の様子を映していた」「録画容量が足りず、トラブルの日の映像が上書きされていた」の3つです。いずれも設置前に画角と運用ルールを決めていれば避けられます。個人情報の取扱いで迷う点は、個人情報保護委員会の相談窓口や自治体、顧問の専門家に確認してください。
よくある質問
Q1.最初は1台だけ付けたい場合、どこがよいですか?(費用) 受付・会計カウンターをおすすめします。現金と患者対応の両方を1台で記録でき、日中と閉院後の両方のリスクに対応できます。予算が許せば、出入口を2台目に加えると侵入経路の記録も残せます。
Q2.患者さんの映像を撮っても法律上問題ありませんか?(法律) 防犯目的で共用部を撮影し、掲示で周知していれば、一般的には適切な取得と考えられます。ただし診察室や更衣室など身体に関わる場所の撮影、顔認証などの機能を使う場合は別途の説明が必要です。個別の判断は専門家や個人情報保護委員会の相談窓口に確認してください。
Q3.スタッフから「監視されているようで嫌だ」と言われました。(運用) 目的が「防犯とトラブル時の記録」であること、閲覧できる人と場面が限定されていることを、就業規則や院内ルールとして文書で示すと理解を得やすくなります。休憩室や更衣室を撮影しないことも明確に伝えてください。
まとめ
クリニックの防犯カメラは、受付・出入口・薬品庫の3か所を軸に、無床クリニックなら3〜4台から検討するのが基本です。撮らない場所を先に決め、逆光や夜間の暗さ、録画容量の不足に注意しながら画角を設計してください。設置後は「掲示・閲覧権限・保存期間・スタッフ周知」の4点を院内ルールとして文書化することで、患者とスタッフの双方に安心して説明できる運用になります。
間取りや配線状況で最適な配置は変わりますので、当社の無料防犯診断で現地の状況に合った台数・配置の提案を受けることもできます。
参考文献・出典
個人情報保護委員会「カメラに関するQ&A(『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&A より抜粋)」 https://www.ppc.go.jp/files/pdf/camera_QA.pdf
警察庁「令和6年の刑法犯に関する統計資料」(令和7年8月) https://www.npa.go.jp/toukei/seianki/R06/r06keihouhantoukeisiryou.pdf
厚生労働省「病院・診療所における向精神薬取扱いの手引」(平成24年2月) https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/dl/kouseishinyaku_01.pdf
個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」に関するQ&A(事例集) https://www.ppc.go.jp/personalinfo/faq/iryoukaigo_guidance_QA/
公益社団法人日本防犯設備協会「防犯カメラと個人情報保護法の取扱い〜改訂版〜」(2023年10月) https://www.ssaj.or.jp/pubdoc/pdf/guidebook/454.pdf













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