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コワーキングスペースの防犯対策を解説|無人運営で必要な設備と運用

9月27日
読了時間: 7分
コワーキングスペースの防犯対策を解説するスライド。監視カメラと入退室管理、人物が入口で端末を操作している。


会員制のコワーキングスペースやシェアオフィスは、「不特定多数が出入りする」「無人の時間帯がある」という点で、一般のオフィスとは違った防犯の悩みがあります。置き引きや共連れ(会員の後ろについて無断で入る行為)が心配でも、何から手を付けるべきか、費用がどれくらいか、利用者への説明はどうするか、迷う方が多いのが実情です。この記事では次の3点が分かります。

  1. コワーキングスペースが狙われる理由と、対策の優先順位

  2. 入退室管理と防犯カメラの具体的な設置場所・費用の目安

  3. 映像の保存期間・掲示・利用規約など、設置後の運用ルール


結論を先に

  • 対策は「入口で絞る → 共用部を見守る → 記録を残して運用する」の順で考えます。

  • 最優先は入退室管理。会員ごとの鍵(カードやスマホ)と入退室ログを残すことが、共連れと無人時間帯の盗難対策の土台です。

  • 防犯カメラは出入口・受付・共用席・ロッカー周りを優先し、個室ブースやトイレは撮影しません。

  • 映像の保存期間は2週間〜1か月を目安にし、「防犯カメラ作動中」の掲示と利用規約への明記をセットで行います。



コワーキングスペースの防犯対策が難しい理由と基本の考え方


共有空間の見えにくい場所を示す図。フリーアドレス席、ロッカー、郵便受け、入口があり、置きっぱなしのPCや通路から見えにくい場所が矢印で示される。

コワーキングスペースが狙われやすいのは、「見知らぬ人がいて当たり前」という前提があるためです。ドロップイン(一時利用)や見学者が混ざる空間では、席を離れた数分の置き引きや共連れが起きても気づきにくく、夜間や休日が無人になる施設では、退会者が返却していないカードが使われるリスクも残ります。

一方で、侵入犯罪の傾向は施設の防犯にもそのまま当てはまります。警察庁の調査では、侵入に5分以上かかると約7割の侵入者が諦めるとされ、「見られている」「時間がかかる」「記録が残る」場所は避けられる傾向があります。また、令和7年の侵入窃盗の認知件数は4万7,233件で、前年より9.8%増加しており、侵入被害は減っていません。したがって基本の考え方は、①入口で入れる人を絞る、②共用部を見守って「見られている」状態をつくる、③記録を残して運用する、の3段階です。


シェアオフィスの入退室管理と共連れ対策


共連れ対策の説明図。会員ごとの鍵と入口カメラ、カード/スマホ入館、退会で鍵失効、入退室ログを示す。

入退室管理とは、誰がいつ入退室したかを鍵と記録で管理する仕組みです。コワーキングスペースでは、会員一人ひとりに個別の鍵(ICカード・スマホアプリ・暗証番号など)を割り当て、電気錠(電気で施解錠する錠前)またはスマートロックで扉を制御するのが基本になります。共通の暗証番号1つで運用すると、退会者にも使われ続けるうえ、ログが残っても誰なのか特定できません。

規模別の目安は次のとおりです。


  • 小規模(〜30席・入口1か所):スマートロック+入口カメラ1〜2台。会員管理と連携できる製品なら退会と同時に鍵を失効できます。


  • 中規模(30〜100席・個室や会議室あり):電気錠+入退室管理システム。会議室は予約と連動して開錠すると無断利用を防げます。


  • 大規模・複数階:フラッパーゲートや階ごとの権限設定。ゲートは1人ずつしか通れないため、共連れ対策として最も確実です。


ゲートを入れられない施設では、入口カメラで入館者の顔が正面から映るようにし、「入館は必ずご自身の鍵で」と掲示するだけでも抑止になります。ドロップイン利用者には有効期限付きの一時コードを発行すると、鍵の回収忘れがなくなります。



防犯カメラの設置場所と画角:優先すべき5か所


防犯カメラ設置場所の図。受付、共用ラウンジ、フリーアドレス席、会議室、個室ブース、備品庫、バックヤードを区画し、①〜⑤の撮影範囲を青緑の三角で示す。内部は撮影しない表示あり。

画角とは、カメラが映せる範囲の広さのことです。「顔を撮る場所」と「全体を撮る場所」を分けて考えます。


  1. 出入口:入館者の顔を正面から捉える。目線より少し高い位置から、やや見下ろす角度が基本です。


  2. 受付・無人受付機:決済トラブルや見学者の確認用。


  3. フリーアドレス席全体:天井から俯瞰で撮り、置き引きの発生位置と動線を記録します。


  4. ロッカー・郵便受け:他人の荷物への接触が起きやすい場所です。


  5. 備品庫・非常口・バックヤード:無人時間帯の侵入経路になりやすい場所です。


逆に、個室ブース・会議室の内部、トイレ・パウダールームは撮影しません。カメラはIPカメラ(ネットワークで映像を送るカメラ)が主流で、映像はNVR(ネットワーク対応の録画機)またはクラウドに保存します。

よくある失敗が「ガラス張りの入口の逆光」と「個室ブースの壁がつくる死角」です。ガラス入口は日中に人物が黒くつぶれやすいため、逆光補正(WDR)機能のあるカメラを選ぶか、室内側に向けて設置します。ブースが多い施設では壁で遮られやすいため、設置前に実際に立って確認します。夜間は赤外線対応か常夜灯の併用で暗さを補います。


防犯設備の費用の目安と選び方【2026年9月時点】


防犯設備の費用目安を示す図。スマートロック、電気錠+入退室管理、防犯カメラの3項目と、0〜60万円の価格帯が色付きバーで表示されている。

費用は製品・工事条件で大きく変わるため、幅のある目安として捉えてください(いずれも【要確認】)。


  • スマートロック:機器と設置で1扉あたり数万円〜20万円程度。既存の扉に後付けできるものは安く、電気錠への交換を伴うと高くなります。


  • 電気錠+入退室管理システム:1扉あたり20万〜50万円程度が目安。会員管理との連携や複数扉で変動します。


  • 防犯カメラ:工事込みで1台5万〜15万円程度、4台+録画機で30万〜60万円程度。クラウド録画型は初期費用を抑える代わりに1台あたり月額1,000〜3,000円程度がかかります。


選び方のポイントは、①会員管理システムと連携できるか、②クラウド型か自社録画型か(無人運営ならスマホで確認できるクラウド型が使いやすい)、③保守窓口があるか、の3点です。補助金は年度や自治体で条件が変わるため、申請前に確認してください【要確認】。



設置後の運用:映像の保存期間・掲示・利用規約


防犯カメラ作動中の掲示と、運用チェックリストを示す説明図。保存期間1か月、掲示や権限制限などの項目が並ぶ。

映像の保存期間は2週間〜1か月が目安です。「先週荷物がなくなった気がする」と申告が遅れることが多く、1週間では足りないケースがあります。容量不足で古い映像が上書きされ、確認したら残っていなかったというのも典型的な失敗で、台数・解像度・保存日数から必要容量を導入時に計算しておきます。

個人を識別できる映像は個人情報に当たるため、利用目的をできる限り特定し、その範囲内で利用する必要があります。防犯目的のみの場合は利用目的の通知・公表が不要とされますが、入口などに「防犯カメラ作動中」と掲示することが望ましいとされ、問い合わせ先も入口や設置場所に明示することが勧められています。あわせて、次の点を利用規約と社内ルールに落とし込みます。


  • 映像を確認できる担当者と手順(誰でも見られる状態にしない)


  • 利用者から開示を求められたときの対応(本人以外の映像は開示せず、警察の要請には正式な手続きで対応)


  • 退会時のカード回収と権限失効を同日に行うこと


  • スタッフへの周知(掲示の意味、ログの見方、不審者への声かけ)


個人情報の扱いは、個人情報保護委員会の資料や自治体のガイドラインで最新の内容を確認してください。


よくある質問


Q1. まず1つだけ導入するなら、カメラと入退室管理のどちらが優先ですか?費用はどれくらい?

入退室管理を優先することをおすすめします。共連れも無人時間帯の盗難も「誰が入ったか分からない」ことが原因で、ログが残るだけで抑止と事後対応が改善します。小規模施設なら後付けスマートロック+入口カメラ1台で【2026年9月時点】10万〜30万円程度が目安です【要確認】。


Q2. 会員に無断でカメラを設置しても法律上問題ありませんか?

防犯目的で共用部を撮影する場合、個別の同意までは求められないのが一般的ですが、利用目的を特定し、掲示で周知することが前提です。個室内やトイレなど、撮影されないと期待される場所は避けてください。詳細は個人情報保護委員会の資料や自治体の条例を確認し、必要に応じて専門家に相談してください。


Q3. 置き引きが起きたとき、映像を被害者に見せてもよいですか?

被害者本人の求めでも、他の利用者が映った映像をそのまま見せるのは避けるのが安全です。施設側で確認し、必要なら警察に相談して正式な手続きで提供する運用にしておくと、他の会員とのトラブルを防げます。



まとめ


  • コワーキングスペースの防犯対策は「入口で絞る → 共用部を見守る → 記録を残して運用する」の順で考えます。

  • 会員ごとの鍵と入退室ログが共連れ・無人時間帯対策の土台です。

  • カメラは出入口・受付・共用席・ロッカー・バックヤードを優先し、個室内やトイレは撮影しません。

  • 保存期間は2週間〜1か月を目安に、掲示・利用規約・スタッフ周知をセットで整えます。

無料防犯診断では、現地の間取りや運営時間に合わせた設置位置と運用の提案を受けられます。


FACYの電気錠と入退室管理の案内ページ。顔認証端末、テンキー錠、ICカードリーダー、管理ソフトの画面と電話番号が並ぶ青紫の広告。

参考資料

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