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運送会社の防犯対策ガイド|トラック・積荷・車庫の守り方

10月2日
読了時間: 7分
運送会社の防犯対策ガイドの図。フェンス前の青いトラック2台をライトが照らし、緑のチェック表示。文字は「運送会社の防犯対策ガイド」「トラック・積荷・車庫の守り方」。

トラックを止めている車庫は事務所から離れていて、夜間や休日は無人になりがちです。「カメラは付けているが足りているのか分からない」「同業者がバッテリーや積荷を盗まれたと聞いて不安になった」という声をよく耳にします。

この記事では、次の3点が分かります。

  • 運送会社の車庫や事務所が、なぜ・何を狙われるのか

  • 出入口・照明・カメラ・車両側の対策を、どの順番で進めるべきか

  • 費用の目安と、設置後の運用・法律面で気を付けること


結論を先に


  • 狙われるのは車両だけでなく、バッテリー・積み置きした荷物・事務所の鍵や現金です。

  • 優先順位は「出入口をふさぐ → 夜間を明るくする → 記録を残す → 車両を固定する」の順です。

  • カメラは録画だけでなく、侵入を検知して光と音で知らせる「予防型」の使い方に価値があります。

  • 従業員への周知と鍵の管理ルールがなければ、設備は生きません。



なぜ運送会社の車庫は狙われるのか


夜の配送車と事務所を描いた図で、「なぜ運送会社の車庫は狙われるのか」という見出し、荷物・バッテリー・ナンバー・鍵や現金が示されている。

警察庁の資料によると、自動車盗の認知件数はピーク時の1割以下まで減ったものの、令和7年(2025年)は6,386件で、令和4年以降4年連続の増加です。組織的に盗んで海外へ不正輸出する手口が目立つと指摘されています。トラックも例外ではなく、警察庁「令和6年の犯罪」では貨物自動車の窃盗が年間944件、1日あたり約2.5件のペースです。

狙われやすい理由は、立地と時間帯にあります。車庫は港湾地域や工業団地、郊外に多く、夜間や週末は人通りがほとんどありません。犯罪者が嫌うのは「時間がかかる」「音や光で目立つ」「記録が残る」の3つですが、無人の車庫はその逆になりやすいのです。

狙われるものは車両だけではありません。

  • バッテリー:トラックは整備性を優先してバッテリーがむき出しで、工具だけで外せます。鉛の換金性が高く、複数台からまとめて盗まれる被害が各地で報告されています。

  • 積み置きした荷物:夜積み・宵積みの荷台は、閉店後の店舗と同じ「無人の商品倉庫」です。

  • ナンバープレート・燃料:部品ねらいのうちナンバープレートは令和7年で約4割。別の犯罪に転用され、被害は車両の損失にとどまりません。

  • 事務所の鍵・現金・個人情報:車両キーやドライバー台帳が事務所に集まっている点も見落とされがちです。


車庫・敷地の防犯対策を優先順位で進める


車庫・敷地の防犯対策を優先順に示す図。1出入口をふさぐ、2夜間を明るくする、3記録を残す、4車両を固定、5予防型に切り替える。

限られた予算で効果を出すには、順番が大切です。


1. 出入口をふさぐ 門扉と強度のあるチェーン、乗り越えにくい高さのフェンスが基本です。車両を丸ごと持ち出す手口には「敷地から出せない」状態が最も効きます。出口が複数ある場合、夜間は1か所に絞ります。


2. 夜間を明るくする 人感センサーライトを出入口と車両列の間に配置します。犯人は光を浴びると作業を中断しやすく、カメラの夜間画質も上がります。


3. 記録を残す(防犯カメラ) 画角(カメラが映せる範囲)の考え方は次の通りです。

  • 出入口:進入車両のナンバーが読める高さ・角度で1台

  • 敷地全景:トラックの列を斜め上から見下ろす位置で1〜2台

  • 死角:トラックの陰、バッテリー側面、荷台の後ろ側にもう1台


4. 車両を固定する タイヤロックやハンドルロック、荷台後部を壁や柱に寄せた駐車、バッテリー固定ナットを専用工具でしか外せない防犯ナットに替える。いずれも数千円〜数万円で、単品では破られても、組み合わせれば「時間がかかる車庫」になります。


5. 予防型に切り替える(AIカメラ・遠隔監視) 従来の録画カメラは、盗まれた後に映像を見返す「事後型」です。AIカメラは人や車両の形を識別して侵入を検知し、その場で警告音声や回転灯を作動させ、担当者のスマートフォンへ通知できます。「録画されている」ではなく「今、気づかれた」と犯人に思わせるのが予防型の考え方で、無人の車庫ほどこの差が大きくなります。



事務所とドライバー動線を守る(入退室管理・顔認証)


事務所とドライバー動線を守る図。事務所、顔認証端末、キーボックス、ICカードのイラストと「入退室管理と鍵の管理」の説明文。青基調で管理的。

車庫の対策が進むと、次に狙われるのが事務所です。


  • 車両キーの管理:壁のフックにまとめて掛けず、施錠できるキーボックスに入れ、持ち出し記録を残します。


  • 入退室管理:ICカードや顔認証(登録した顔で本人確認する仕組み)による電気錠(電気で施錠・解錠する錠前)を事務所の出入口に設けると、退職者のカード無効化や深夜の入室記録の確認が容易になります。早朝出庫の多い運送会社では、鍵を持ち歩かずに済む利点もあります。


  • 休日・夜間:事務所内に人感センサーを置き、異常時は警備会社や管理者への通知に連動させます。


  • 顔認証の注意点:顔認証は個人情報保護法上の取り扱いが従来のカメラより厳格です。個人情報保護委員会は、犯罪防止目的に加えて顔識別機能を使っていることを明示し、利用目的を公表するよう求めています。詳細は専門家や同委員会の資料で確認してください。


費用の目安と、規模別の選び方


費用の目安と規模別の選び方を示す図。5〜10台、20〜50台、複数拠点の3列で、車両と¥アイコン、門扉・AI検知などの項目を表示。

以下は【2026年9月時点】の一般的な目安で、機種や工事条件で大きく変わります【要確認】。

対策

目安

センサーライト(1か所)

1〜5万円程度

タイヤロック・ハンドルロック・防犯ナット

1台あたり数千〜数万円

屋外IPカメラ(ネットワーク経由で映像を送るカメラ)+NVR(録画装置)、4台

30〜80万円程度

AIカメラ+クラウド遠隔監視

月額数千〜数万円/台

顔認証入退室(1ドア)

20〜60万円程度


規模別の考え方


  • 5〜10台・車庫1か所:門扉のチェーン、センサーライト2〜3か所、出入口と全景のカメラ2〜4台、車両の物理ロック。まず「出せない・見える・残る」を揃えます。


  • 20〜50台・車庫と事務所が別:カメラを6〜12台に増やし、AI検知と警告スピーカーで無人時間帯を予防型に。事務所にはキーボックスと入退室管理を導入します。


  • 複数拠点:各拠点の映像を本社で一括閲覧できるクラウド型と警備会社の遠隔対応を組み合わせ、映像管理のルールを統一します。


補助金は、自治体の防犯カメラ設置補助や都道府県トラック協会の助成が使える場合があります。制度は年度ごとに変わるため、各窓口で最新情報を確認してください。



設置後の運用と、よくある失敗


防犯カメラ設置後の運用比較図。左は「よくある失敗」、暗い駐車場にトラックと警告。右は「望ましい運用」、録画期間や通知確認の例。

録画の保存日数

積荷の不足は納品先で発覚することが多く、連休明けまで気づかないこともあります。最低2週間、できれば1か月分を目安にし、容量不足で古い映像が消えていないか月1回確認します。


掲示と周知

「防犯カメラ作動中」の掲示は、抑止効果と同時に個人情報保護法上の配慮でもあります。ドライバーや協力会社にも撮影目的と閲覧ルールを説明し、閲覧者は限定、外部提供は警察の要請など正当な場合に限ります。


よくある失敗

  • 出入口だけにカメラを置き、犯人にそこだけ避けられる

  • 夜間に照明がなく、人影は映るが顔もナンバーも読めない

  • 逆光の位置に設置し、日中の出入りが黒くつぶれる

  • 録画はしていたが通知がなく、被害に気づいたのは翌朝

  • 車内にキーを置いたまま、荷台を開けたまま駐車する習慣が残っている


自動車盗の約4分の3は「キーなし」の状態で被害に遭っていますが、裏を返せば残りの4分の1は施錠やキー管理の徹底で防げた可能性があります。設備の前に、朝礼で伝えられることから始めましょう。


よくある質問


Q1. 予算が限られています。最初の1台はどこに付けるべきですか?

A. 敷地の出入口です。進入車両のナンバーが読める角度で設置すれば、車両・積荷・バッテリーのいずれの盗難にも記録が残ります。次に、車両列を見渡せる全景用の1台を加えます。


Q2. 従業員を撮影することになりますが、法律上の問題はありませんか?

A. 防犯目的で、目的が分かる掲示をし、映像を目的外に使わなければ、一般的には問題になりにくいとされています。ただし勤怠管理や評価への流用は別目的になるため、就業規則への明記や労使での説明が必要です。顔認証を使う場合はさらに配慮が求められるため、個別の判断は専門家に確認してください。


Q3. 遠隔監視は、実際に侵入があったとき何をしてくれますか?

A. 一般的には、AIが侵入を検知すると音声警告と通知が行われ、契約によっては監視センターが映像を確認し、警備員の出動や警察への通報を行います。到着までの時間を稼ぐため、物理的なロックや門扉との併用が前提です。



まとめ


  • 狙われるのは、車両・バッテリー・積み置き荷物・事務所の鍵と現金

  • 順番は「出入口 → 照明 → カメラ → 車両固定 → 予防型(AI検知・遠隔監視)」

  • 費用は規模と拠点数で決まり、補助金は年度ごとに要確認

  • 保存日数・掲示・鍵の管理ルールまで含めて、初めて対策になる

車庫の形や周辺環境で最適な配置は変わります。当社の無料防犯診断では、現地の状況に合った提案を受けられます。



参考文献

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