無人販売所・無人店舗の防犯対策チェックリスト10項目を解説
10月16日
読了時間: 6分

無人販売所や無人店舗は、人件費を抑えながら長時間営業できる一方、「店内に見ている人がいない」ことが前提の業態です。代金を払わない持ち去り、料金箱の盗難、閉店後の侵入。こうした被害を「多少は仕方ない」で済ませていると、利益だけでなく営業の継続そのものが揺らぎます。
警察庁によると、令和7年の侵入窃盗の認知件数は4万7,233件で、前年比9.8%増と増加に転じています。無人の時間が長い店舗ほど、仕組みで守る考え方が欠かせません。
まずは次の10項目のうち、いくつ当てはまるか数えてみてください。
無人販売所・無人店舗の防犯セルフ診断チェックリスト

① 支払い方法が「現金を料金箱に入れるだけ」になっている
② 料金箱が床や棚に固定されておらず、現金の回収は数日おき
③ 防犯カメラが入口・料金箱・商品棚のどこかを映していない
④ 「録画中」「遠隔監視中」の掲示がない、または目立たない
⑤ 夜間、店内が暗い/外から店内の様子が見えにくい
⑥ 営業時間外の施錠や侵入センサー(人や扉の開閉を検知する装置)がない
⑦ 異常があっても、スマホなどに通知が来る仕組みがない
⑧ 録画の保存期間を把握していない(何日分残るか分からない)
⑨ 在庫数と売上金額を照合していない
⑩ 被害に気づいたときの対応手順が決まっていない
項目ごとの解説:なぜ狙われ、どう対策するか

① 現金だけの料金箱 「払ったふり」が最もしやすい形です。キャッシュレス決済や、代金を入れないと商品が出てこない自動販売機・ロッカー型を組み合わせると、持ち去りの余地そのものを減らせます。
② 料金箱の固定と回収 料金箱ごと持ち去る・こじ開ける被害は、中に現金がたまっているほど狙われます。アンカーボルト等で固定し、回収は毎日が目安です。閉店後の店舗で釣銭機が盗まれた事例を受け、警察も「現金を置かない」「機器を固定する」ことを呼びかけています。
③ カメラの死角 天井の広角カメラ1台だけでは、顔も手元も小さくしか映らないことがよくあります。役割を分け、入口=顔、料金箱=手元、店内全体=動線の最低3視点を意識しましょう。画角(カメラが映せる範囲)は「広く」より「判別できる大きさ」を優先します。
④ 掲示の不足 防犯カメラは「見られている」と伝わって初めて抑止力になります。入口の外と料金箱の前に、「録画中」「遠隔で監視しています」と分かる掲示を出しましょう。報道でも、無人店舗の専門家が「人の目がある」と知らせる掲示の有効性を指摘しています。
⑤ 夜間の暗さ・見通し 暗い店内は顔が映らず、外からの視線も届きません。照明は営業中つけたままにし、ガラス面に貼り物をしすぎないことが基本です。入口がガラス扉の場合、日中は逆光で顔が黒くつぶれやすいため、設置前に時間帯を変えて映り方を確認してください。
⑥ 営業時間外の守り 閉店後の侵入には、扉・窓のセンサーやパッシブセンサー(人の体温の動きを検知する装置)と、サイレンや警報音を組み合わせます。音と光で「長居できない」と思わせることが狙いです。
⑦ 通知の仕組み 録画を後から見るだけでは被害は止まりません。AIカメラは、営業時間外の人物検知や料金箱付近での長時間滞在などを判定し、スマホに通知できます。スピーカー付きなら、その場で音声の呼びかけも可能です。
⑧ 録画の保存期間 無人店舗は、棚卸しで被害に気づくまで日数がかかりがちです。保存は2週間〜1か月を目安に、録画装置(NVR:ネットワークカメラ用の録画機)やクラウドの容量を逆算しましょう。容量不足で必要な日の映像が上書きされていた、というのはよくある失敗です。
⑨ 在庫と売上の照合 照合をしていないと、被害に「いつ」気づいたのかも分かりません。週1回でも在庫と売上を突き合わせ、差が出た日の映像を確認する習慣が、早期発見につながります。
⑩ 被害時の対応手順 映像の保全→警察への相談→被害額の記録、の順を決めておきます。犯人と思われる人物の顔写真を店内やSNSに掲示する対応は、人違いの場合を含め、名誉毀損などのトラブルに発展するおそれがあります。判断は警察や弁護士に相談してください。
点数別の診断結果

当てはまった数 | 診断 | 目安となる行動 |
7個以上 | 早急に見直し | 現金管理とカメラ配置から、今月中に着手 |
4〜6個 | 部分的に強化 | 抜けている「視点」と「通知」を補う |
3個以下 | 維持と定期点検 | 半年に1回、映り方と保存日数を再確認 |
無人店舗の防犯対策、優先して取り組むべきトップ3

1位:現金を「置かない・ためない」 キャッシュレス化、料金箱の固定、毎日の回収。費用をかけずに始められ、効果が大きい対策です。
2位:顔と手元が判別できるカメラ+目立つ掲示 規模別の考え方は次のとおりです。
小規模(野菜・冷凍食品などの販売所):入口・料金箱・店内の3台が基本
中規模(無人コンビニ・古着店など):上記に棚の列ごとの死角対策を追加
深夜帯も営業する店舗:会員登録制にして、顔認証(登録した顔で入店を許可する仕組み)で入店できる人を限定する方法も選択肢です
3位:AIカメラの通知と、閉店後の侵入センサー 「録るだけ」から「その場で気づく」運用に切り替えます。
費用感の目安(【2026年10月時点】の一般的な幅、【要確認】):
内容 | 目安 |
防犯カメラ3〜4台(録画機・工事込み) | 数十万円程度 |
クラウド録画 | 1台あたり月額数千円程度 |
AIカメラ・顔認証入店 | 機能・台数により大きく変動 |
設置環境で大きく変わるため、複数社の見積もりで比較してください。また、人手不足対策の「中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)」は【2026年10月時点】で2027年3月末頃まで申請受付予定とされていますが、対象はカタログ掲載製品に限られます。防犯機器が対象になるかは【要確認】のため、公式情報で確認しましょう。
法律・プライバシーの注意点 カメラ映像は個人情報にあたる場合があり、利用目的の明示と適切な管理が求められます。特に顔識別機能を使う場合は、防犯目的であることに加えて「顔識別機能を用いていること」も明らかにする必要があると、個人情報保護委員会が示しています。具体的な掲示内容や運用は、専門家や自治体に確認すると安心です。
まとめ:無人運営を成り立たせるのは「定期点検」

無人店舗の被害は「持ち去り」「料金箱」「閉店後の侵入」の3つに分けて考える
最優先は現金を置かない・ためない仕組みづくり
カメラは台数より「顔・手元・動線」の3視点と、見える掲示
AIカメラの通知で「録るだけ」から「気づける」運用へ
録画の保存日数と在庫照合をセットで、半年に1回は点検
このチェックリストを、開店前と半年ごとの点検に使ってみてください。自店だけで判断が難しい場合は、無料の防犯診断で現地の状況に合った提案を受けることもできます。
参考文献
警察庁「住まいる防犯110番 侵入犯罪の現状」 https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_b_1_main.html
静岡県警察 天竜警察署 山香駐在所だより(令和6年5月) https://www.pref.shizuoka.jp/police/_res/projects/project_police/_page_/002/003/664/02-yamaka202405.pdf
個人情報保護委員会「民間事業者向け カメラと個人情報保護法」 https://www.ppc.go.jp/files/pdf/camera_utilize_handbook202312.pdf
個人情報保護委員会「個人情報保護法ガイドラインQ&A(Q1-14 顔識別機能付きカメラシステム)」 https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/faq1-q1-14_
経済産業省「エッセンシャルサービス省力化補助金の概要(中小企業省力化投資補助金 カタログ注文型)」 https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/chiiki_keizai/maintaining_local_life/pdf/004_s01_00.pdf
The Yomiuri Shimbun(Asia News Network掲載)"Theft at unmanned shops on rise alongside surge in cost-of-living"(2022年12月) https://asianews.network/theft-at-unmanned-shops-on-rise-alongside-surge-in-cost-of-living/















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